1.逆しまの空 ≫ 挿絵っぽいの
●薬草を取りに
 正直、女の子の存在は足手まといだった。
 着ている服でわかる、良い所の育ちなんだろう。
 山道を歩くのも初めてといった感じに、落ち着きなく辺りを見渡しては、少年に質問を投げかけてくる。

 あの木は何、あの虫は何、といった具合にだ。
 これぐらい知ってて当り前だろう、と思うことを女の子は全くと言っていいほど知らなかった。
 ――――第一話 空の子より


●こっちだよ
 魔物が怖くない人間なんて、いやしない。
 タオの言葉が終わる前に、少年は少女の手を振り解いていた。
 少女から一歩後ずさる。

「どうしたの? 行こうよ」
 少女がほんの少し微笑んで、手を差し出す。
 少年は、その手を取らなかった。
 ――――第一話 空の子より


●ふたりきり
 リィは自分の両手を背中に回して、恋人を見上げた。
「ねぇ。レイ、キスしてよ」
「いくらなんでも。ここじゃ、まずいだろう」
 注意こそしてきたものの、レイの顔はまんざらでもないみたいだった。
「もー、レイらしくない。これから忙しくなるし、ここなら誰も見てないじゃない」
「リィは怖いと思わないのか?」
「うん。だって、レイと一緒だもん」

 屈託のない笑顔を向けられて、ここが生き物の住めない空間にもかかわらず、レイは照れた。
 辺境に左遷された時と同じだ、「これで人目を気にせずに済むね」なんて言って笑うのだ。
 ――――第三話 遭遇より


●大きくなったら
 袖も丈もありあまってワンピースのようになっていた。
 大人用と子供用を間違えたのだ。
 緑の髪に四枚の翼を持つ青年が、慌てて服を取り替えてくると言い出す。

 その姿があまりにおかしくて、リスカは笑った。
「大きくなったら丁度いい」
 そう言って、青年の袖を引いた。
 ――――未掲載 「微笑みの中で」より





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