ビルの狭間
部屋の隅
下駄箱の中
墓石の裏
恋しいあまりに
陽光を避け
生きるものの影で
ひっそりと噂する
それは 光にして闇
混沌にして唯一
死者でも生者ないもの
別の幹から潜り込んだ
絶対存在
ふるえ ふるえ
ささやきは風となって
花びらを落とす
舞い散る桜に
顔を上げて
美しい、と
彼の人は微笑んだ
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