茜はふたつ

ふたつでひとり

戦の狭間で 肉を食む




ふたつを分つモノはなく

対の魔物は野を駆ける




長く果てない戦跡

鬼火漂う 森の中


ひとつは音色を耳にした





高く澄んだ 笑い声

ひとつの腕の中

無邪気にはしゃぐ 小さな赤子




ひとつはその音色の虜になった

どんな肉を食べるより 心地よいとさえ感じた

そしてひとつは赤子の傍らに残った





幾日、幾年がすぎ 赤子が大きくなっても

ひとつは飽きずに側にいた


ずっとずっと、笑っていて欲しいと



願う気持ちを指す言葉を ひとつは知らない



それは――






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